豆知識

洗車についてのお役立ち情報です。どうぞご参考になさってください。

手洗いのメリット

手洗い洗車は手間がいりますが、それだけのメリットがあります。先ず、手順を守って洗車すれば機械洗車より明らかに仕上がりが良く、洗車キズも少なくてすみます。また、自分でお手入れすると愛着がわくので、運転や扱いが丁寧になり良いコンディションを長く保てます。そして、お車に異常や不具合があれば早く気付くので安全運転にもつながります。最近のコーティングは洗車時の汚れ落ちが良いので手洗いも楽です。すすぎの後、濡れたままコーティングできるタイプであれば短時間でキレイに仕上がります。

洗車機

回転ブラシ型洗車機

手軽に洗車するには洗車機が便利です。しかし、洗車機は回転ブラシが接触しない部分は洗い残しとなります。また、最近はスポンジブラシや布ブラシになっているとはいえ、少量の水を浴びせるだけで回転ブラシが擦る機種が多く、洗車キズが付きます。砂粒や泥を十分な予洗いで落として、清潔なブラシで擦るならキズを防げますが、砂粒や泥が残ったままでブラシが擦ったり、異物がブラシに付着しているとアウトです。特に黒や紺などの濃色車は細かなキズも目立つので洗車機はお奨めできません。白やシルバーなどの淡色車は細かなキズが目立たないので、「最近の洗車機はキズが付かない」と思っておられる方も多いようです。

ノーブラシ洗車機

ノーブラシ洗車機

ノーブラシ洗車機はどうでしょうか。これは“自動高圧洗浄機”だと言えます。洗浄後に拭き上げると意外にクロスが汚れますし、拭き上げずに乾燥させると薄く汚れが残っているのがよく判ります。ノーブラシ洗車機では固着した汚れや水垢、油分を含む汚れは落とし切れません。キレイに仕上げるには手洗いと併用する必要があります。汚れが蓄積する前に手洗いすることをお奨めします。ノーブラシ洗車機もワックスやコーティングのオプションがありますが、これは汚れの上からコーティングやワックスを被せていることになります。

洗車キズを防ぐ

細かなキズ

白やシルバーなどの淡色は洗車キズが目立ちませんが、黒や紺などの濃色は非常に目立ちます。塗装はウレタン樹脂などのプラスチックですから、決して硬くはなく砂粒で簡単にキズが付きます。砂粒といっても目に見えないほどの小さな粒径10μm(0.01㎜)の粒でも十分に見えるキズを付けます。洗車キズを防ぐには、①温水高圧洗浄機で十分に予洗いする②シャンプーをよく泡立ててソフトに洗う③スポンジやクロスは常に清潔な状態で使う④すすぎ後の水滴はブロワーで吹き飛ばすか、吸水クロスで吸い取る⑤汚れの付着抑制と汚れ落ちを良くするコーティングを塗布する、以上の五つのポイントを守ってお手入れしてください。

洗車七つ道具

シャンプーの泡立て

①バケツ

シャンプー泡用とスポンジすすぎ用の二つあると便利です。

②スポンジ(ボディー用)

マイクロファイバークロスやムートンも良いです。硬いものは避けましょう。

③ホイール・タイヤブラシ

ブラシまたはスポンジ。ボディー用との兼用はよくありません。細かなデザインのホイールには細いブラシが便利です。

④拭き上げクロス

吸水性が良い合成セーム皮やマイクロファイバークロス。絞りやすいものが良いです。

⑤使い捨てウェスとクリーナー

ピッチ・タール、水垢、虫、などはシャンプーでは落ちにくいので、クリーナーと使い捨てウェスがあると便利です。

⑥シャンプー

泡立ち、泡切れの良い中性のものがよいです。研磨材が入っているものは水垢などの落ちも良いですが、塗装に優しい微粒子のものがお奨めです。

⑦ワックス・コーティング

濡れたボディーにスプレーして拭き上げるタイプは短時間で仕上がります。カルナバ蝋のワックスは艶が良いので根強い人気があります。

 

ボディーガラスコーティング

近年ワックスやポリマー系のコーティングよりも耐久性の高いガラスコーティングの使用率が高まっています。ち密なガラス皮膜は塗装の保護力に優れ、汚れが固着しにくいので洗車時の汚れ落ちが良好です。ガラスコーティングは専門店で施工されることが多い「硬化型」と呼ばれるものと、カー用品店で売られていることが多い「ガラス系」と呼ばれるものに大別できます。「硬化型」は文字通り硬く緻密なガラス皮膜が形成されます。耐久性を5年以上と謳う商品もあります。ただし、お値段も高くなります。一方、手軽な「ガラス系」もガラス膜は形成されますが、純粋な硬いガラス皮膜ではないので、耐久性は「硬化型」に及びません。それでも従来のワックスより長持ちしますし、汚れ落ちも良好です。

“硬化型”“ガラス系”ともに、コーティングの仕上がりの良し悪しは、下地処理(洗車、鉄粉除去、磨き、脱脂)で大きく左右されます。汚れやキズの上からコーティングを被せないためにも大切な処理です。コーティングの際、専門店は大部分の手間を下地処理にかけます。入念に下地処理すれば、荒れてしまった塗装も見違えるようにキレイになります。

ガラスコーティングしても汚れは付着します(窓ガラスが汚れるのと同じ)。美しく保つには洗車は必要です。また、“硬化型”でも膜厚は0.001㎜程度ですから横着な洗車をすれば洗車キズがつきます。シャンプーを使用するほうが洗車キズは減らせますので、専門店が推奨するシャンプーで丁寧に洗車してください。

硬いために“硬化型”は、シミや洗車キズが増えても“リセット”が難しいのが悩ましい点です。除去して塗りなおすにはコンパウンドによる研磨が必要で、手間(費用)がかかります。定期的に施工店でメンテを受ければ美しく保てますが、そのたびにメンテ費用がかかります。その点、“ガラス系”のほうは数回の洗車で落ちてしまうので、リセットが比較的簡単ですし、洗車の後に自分で手軽に塗布できます。

高コストでも長期にわたる性能を求めるなら“硬化型”、数回の洗車のあいだもてば十分と考えるなら“ガラス系”が良い選択だと言えます。

最近のクルマは長持ち

クルマのボディーは亜鉛メッキ鋼板の使用に加えて防錆効果の高い下塗り(浸漬電着塗装)がされるようになり、飛躍的に錆に強くなりました。それまでのボディーは下地(鋼板)に達するキズが入りやすいうえ、錆の拡大が速くて放置すると簡単に穴があいたものです。近年のクルマのボディーは、防錆技術の向上で大変長持ちするようになっています。でも油断は禁物、鋼板に達するような深いキズがついたときはタッチアップなどの防錆処理をしておきましょう。

塗装も以前は屋外保管だと、数年で艶が失せるような耐久性の低い塗装がありましたが、近年は高品質な塗装が開発され、きちんとお手入れすれば10年以上美しさを保てます。紫外線を防げる保管場所であれば20年でも大丈夫です。技術の向上がクルマの塗装にも長寿命化をもたらしています。

磨きすぎはNG?

乗用車のボディーは亜鉛メッキ鋼板に、下塗り、中塗り、上塗り、クリヤー(透明)の4層の塗装が施されているのが一般的です。それぞれの膜厚は2030μmで、合計でもせいぜい100μm(0.1㎜)です。

お手入れの対象となるのは最上層のクリヤー層(ソリッド塗装車はクリヤー層が無いものがあります)ですが、その厚さは約30μm(0.03㎜)です。薄く感じますが、コンパウンド(研磨剤)を用いて磨く場合でも、3μmも磨けば洗車キズ程度の細かなキズは消えて艶が復活します。ただし深いキズを消そうとして集中的に同じ部分をコンパウンドで研磨すると、クリヤー層が無くなる事があるので無理は禁物です。

水垢取りやクリーナーは、微粒子の研磨剤入りのものがあります。これらでゴシゴシと極端に集中して擦るとクリヤー層がそこだけ薄くなります。頻繁に研磨剤入りクリーナーを同じ場所に使用すると、局所的にクリヤー層が無くなることがありますのでご注意ください。

保管状態やお手入れに左右されますが、塗装は5年くらいで表面が劣化して艶がくすみ、細かなキズが目立つようになります。思い切って専門店に“磨き”を依頼すると見違えるようにキレイになります。深いキズや凹みは残りますが、浅い洗車キズは磨けば無くなります。器用な方ならDIYでも施工できますが、専門店レベルに仕上げるのは大変です。充実した設備を備え、実績と技術力のある専門店に依頼するのが無難です。

黒の魅力

黒いボディーのピアノのような輝きは、工芸品のような高級感があります。トヨタの高級車「センチュリー」の塗装は本当に工芸品のような工程で塗装されているそうです。しかし、黒いボディーは汚れやキズが非常に目立ちます。タクシーのように汚れてもその日のうちに洗車できれば、汚れも簡単に落ちるので維持しやすいのですが、マイカーではそうもゆきません。汚れは乾燥するとシミのようになり、無理に落とそうとして乱暴な洗い方をすると、微細なキズが無数に生じて艶がくすんでしまいます。では、どうすれば良いコンディションを保てるでしょうか。

保管中の汚れを防ぐために、屋根がある場所(出来れば屋内車庫)に保管する。つぎは、汚れが付着しにくく汚れ落ちが良くなるコーティング・ワックスを使用する。そして、汚れたら早めに適切な方法で丁寧に洗車することです。黒いボディーを美しく保つには、コスト、時間、技術、情熱が必要だと言えます。高価なコーティングを施工しても、お手入れしなければ黒いボディーの魅力は発揮されません。

環境保護のために

自宅の駐車スペースで洗車される方も多いと思いますが、下水道が整備されている地域でも、庭やガレージの洗車排水は雨水溝へ流れます。雨水溝の排水は河川や湖沼へ直接流入するので、洗剤や油脂類が環境を汚染するおそれがあります。洗濯や風呂の排水と同様に洗車排水も下水道または浄化槽に流せば問題はありませんが、そうなっている住宅はほとんどありません。もちろん路上からの排水も雨水溝へ排水されます。

環境保護のために、洗車は排水設備が完備した洗車場やガソリンスタンドで行うべきだと言えます。欧米では下水道または浄化槽に排水を流せない場所での洗車は法律で禁じられていることが多いのです。